劣等感がなくなる方法

劣等感がなくなる方法

人は劣等感を乗り越えるための努力で劣等感を深刻化する。人は劣等感を乗り越える心の姿勢で根本的な間違いを犯す。

劣等感を解消しよう、解消しようとして逆に劣等感を深刻化していく。劣等感は劣等感の上に積み重なる。そして劣等感が心の中に山積みになる。

屈辱感を乗り越えようとして「オレは凄いんだ」と言っている人が居る。その場を何とか心理的に治める。

しかしそれはなんの解決にもなっていない。それはカレン・ホルナイの言う神経症的解決である。真の解決ではない。

過去の屈辱感が「優越したい」と言う願望を生む。人は優越することで、心の葛藤を解決しようとしている。

優越することで心の葛藤を解決しようとすると、どうしても普通の人よりも生きる障害が多くなる。

たとえば自分が優越することの障害になる人が出てくる機会は普通の人より多い。そしてその人を許せない。

自分の神経症的要求を妨害する人が許せない。

努力の方向が優越することから、人とふれ合う方向に舵を切れるかどうかが、その人の幸せと不幸の分かれ道である。

「私たちという感情」を持つように舵を切れるかどうかで生きづらさは違ってくる。

深刻な劣等感で生きることが辛い人は、今までの不幸な歴史を検証することが先決である。

自分への失望に気がつき、視野を広げることができない限り、幸せになることは出来ない。

生まれてから受けてきた様々な自分に対する否定的メッセージに気がつくことである。

その自分に対する不当な否定的メッセージを乗り越えることが先決である。

人と心がふれあうことで劣等感は解消できるのに、劣等感を解消しようとして逆に相手に優越しようとする。

だからこそ劣等感のある人は、努力するにもかかわらず劣等感がどんどん深刻になる。

劣等感は依存症である。

アルコール依存症の人は、アルコールを飲めばその時には一瞬楽になる。しかし問題は解決していないどころか、深刻化している。

深刻な劣等感のある人は競争に勝てばその時にはほっとする。その時だけは楽である。しかし心の葛藤は深刻化している。競争に勝っても負けても劣等感は深刻になっている。

アルコール依存症の人がアルコールを飲まないではいられないように、劣等感の深刻な人は優越しようとしないではいられない。

しかし優越しようとすることは人との心のふれあいをさらに難しくする。

優越できなければ、不安になり自分の独自性の強調になる。人と違ったことをして他人に自分を印象づけようとする。

不安になれば不安になるほどほど、競争心が強くなり、優越できなければ変わったことをして人に自分を印象づけようとする。

自分は「変わっている」ということで世の中の普通の基準で評価されることから逃げる。

ただの我が儘を「私、平凡な生き方って好きじゃないんですよね」と芸術家や革命家を気取ったりする。

深刻な劣等感のある人は身勝手な自分のことを個性的と解釈しようとする。

夏に毛皮のコートを着て、ファッショの最前線であると気取るような人である。

深刻な劣等感から「変わっている」ことをして、それを個性と言い張る。

いずれにしろ優越することが「緊急の必要性」なのに優越できない。

そこで「個性的な自分」と言う自己像に固執する。現実の世界から想像の世界に逃避する。

そうして神経症的競争意識がますます酷くなり、ますます人と心のふれあいを失う。

人は他人に自分を強く印象づけようとして不安になれば不安になるほどほど、競争心は強くなる。「註、Paul Gilbert*, Kirsten McEwan, Rebecca Bellew,

Alison Mills and Corinne Gale

The Mental Health Research Unit, Derbyshire Mental Health Trust, University of Derby, Derby, UK

The dark side of competition: How competitive behavior and striving to avoid inferiority are linked to depression, anxiety, stress and self- harm

Psychology and Psychotherapy: Theory, Research and Practice (2009), 82, 123-136

® 2009 The British Psychological Societ,P.124」

アルコール依存症の人がアルコールを飲み続けていよいよアルコール依存症が深刻になるのと同じである。

優越できても、優越できなくて独自性を強調しても、いよいよ劣等感は深刻になる。

独自性を強調できなくて「どうせ」とすねる人も出てくる。これらの心理の解説がこの本の目的である。

アルコール依存症の人は、自分がアルコール依存症であることを否定するが、心の底ではアルコール依存症であることを知っている。

しかし深刻な劣等感のある人は、心の底でも自分が依存症であることに気がついていない。

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