なぜか恋愛がうまくいかない人の心理学

なぜか恋愛がうまくいかない人の心理学

恋愛や結婚は天国への切符ではない。逆に人生の行き止まりであることもある。

 天国行きと思って買った切符が地獄行きの間違いと言うことも多い。間違いと気がついたときに乗り換えれば良いのだが、乗り換えないで終点まで行く人も居る。

 恋愛から結婚したけど、恋が実ったどころか憎しみあっている夫婦が居る。

 それは人間関係依存症である。つまり憎しみがあり、惨めであるが、なかなか別れられない。相手と別れたいけど別れられない。

 アルコール依存症と同じである。お酒を止めようと思っても止められない。

 表面的に見ると恋が実ったようでありが、本質的には実っていない。そういった恋が沢山ある。

 結婚できたときに「恋が実っている」と思ったのが、それは錯覚で実は実っていない。

 その時だけを取ると愛は実ったように見る。しかし決して本当には実っていない。

 表面的に恋が実っているようでも、本質的に実っていない。依存心が強い場合には、恋は必ず、すぐに破綻が来る。

 恋は「結婚したから恋が実った」などと言う簡単なものではない。

 淋しさを逃れるために恋愛したり、結婚したりするから恋が実らない。実らないどころか逆に嫌いでも別れられない人間関係依存症になる。

 この本では、そういう実例を考えながら恋が実るとはどういうことかを考えた。

 またどうしたら恋が実るのかも考えた。

 確かにビジネスマンであろうが、学生であろうが、失敗すると原因を考える。しかし不思議なことに確実に失敗する恋だけは原因を考えない。

 そして驚いたことに「相手が悪い」と考える。これでは永遠に恋は実らない。

 恋が実らない人は、そもそも愛そのものを勘違いしている。

 恋が実るのは、その人の自立的・能動的、生産的、自発的、積極的な生き方の結果であって、一般的に考えられるよりも相手は問題でない。

恋が実るかどうかは、どのような人と恋愛するかと言うことよりも、自分の心の姿勢の方が問題である。

 依存心の強い人は誰と恋愛しても恋が実ることはありえない。形式的に結婚したって恋が実ることはない。

 依存心が強くて恋が実らない人は、スキーができないのにスキー場に行って滑ろうとしている様なものである。そして「私が、スキーが出来ないのはスキー場が悪い」と思い込んでいる。

 スキーが出来ない人は、どのスキー場に行っても滑れない。

 お店に行ってお金を払わないで何かを買おうとしている。しかし売ってくれない。

 すると「このお店は酷い」と怒っている。しかしどこのお店に行っても、欲しい商品を売ってくれない。

 スキーの能力や、お店でのお金にあたるのが自立心である。

 その人の心の葛藤に、今の恋愛関係破綻の原因があることが多い。

 恋愛関係ばかりでなく、どのような人間関係であっても、自分の心の葛藤を関係の中に持ち込み、その関係の中で葛藤を解決しようとするときに、その関係は破綻する。

 「恋が実る」というとすぐに「一緒になれる」ことを考える。しかしそれは必ずしも実ることではない。

 恋が実るのにはいくつも実り方はある。

 その人を信じられる。その人が自分を愛していると言うことを信じられるのも一つの実り方である。

 その人が自分の心の中にいるというのも重要な実り方である。つまりその人が心の支えになる。その人が自分の心の砦になるのも一つの重要な実り方である。

 「好き」は簡単。でも「愛する」ことは難しい。

 「愛する」ことは自分も相手も幸せになること。

  自己執着の強い人はそれができない。

 自分に執着することはできても、好きな人を「愛する」ことは簡単にはできない。恋が実る人は、執着心を捨てることのできる人でもある。

 失恋にしろ、離婚にしろ、それらは当事者の背後にある心理的問題が原因である。この本ではその背後にある心理的問題を考えた。

 本文中に考えるが、恋愛のトラブルはいくつか要素がある。

  1、男と女であるがゆえのトラブル。

  2、双方が心理的な問題を抱えているがゆえのトラブル。

  3、その両方が重なったトラブル。

 真実の恋は「裏切られても信じる心」である。

 それは別離の時に表面的に「裏切られた」と思っても、その後の二人が、その失恋を通して人間として成長するなら、そうなった時が、恋が実ったのである。

 恋愛から結婚しても、情緒的未成熟から時を経て憎み合うようになり、しかも別れることも出来ない。恋が実った様に見えるが、そうした行き止まりの道の様な人生になる恋もある。

 そうした恋は恋愛から結婚し、生涯一つ屋根の下に一緒に居ても恋は実っていない。

 あるいは別れても恨み会っている。恋は実っていない。

 フロムは社会的成功するためにエネルギーを使うが、愛の成功のためには何も学ばないし、エネルギーを使わないと言う趣旨のことを言っている。「註、The Art of Loving, Harper & Publishers, Inc,1956 , p.4」

 もし失恋しても、人間はお互いにこんなにも違うのだと言うことを学べば、その恋は実ったことになる。

 同じことを体験していても、一人は傷ついているし、他方は喜んでいると言うことがある。失恋をして、思いもかけないことでお互いの違いを知る。

 失恋によって、人はお互いに価値観も興味も違うと言うことが骨身にしみて解れれば、次の恋は実るかもしれない。

 お互いの違いを優劣の差にしてしまった人は、次の恋も実らない。 

 「資本主義社会では利益を得るためには学ぶが、愛の成功のためには学ばない。」「註、Erich Fromm, The Art of Loving, Harper & Publishers, Inc,1956 , p.4」

 この本は、恋が実るための心理を書いた本である。

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