ライオンとウサギ

ライオンがねむっているウサギを見つけて食べようとしていました。すると、シカが通りかかったので、ウサギを放っておいて、シカを追いかけました。ウサギはもの音におどろいて逃げました。ライオンはシカを長いあいだ追いかけましたが、つかまりませんでしたので、ウサギのところへきましたが、ウサギは逃げたあとでした。そこで、ライオンは言いました。
 
「こういうめにあうのもあたりまえだ。せっかくとれたえものを放っておいて、大きな望みをおこしたからだ。」

自分の今ある喜びに感謝しないでまた別の仕事を探す人が居る。幸せの青い鳥を探しすぎて不幸になる人がいる。結婚しようとしていた人がいる。ところが別の人が表われた。もっと美人だ。そしてその人に気を移して結局二人から見放される。
 
今の自分の仕事がうまくいっているのをほっておいて別の仕事を探す。もっと儲かりそうだと安易に新しい仕事に手を出す。バブルの時代に本業をしないで、もっと安易にお金が儲かる仕事を探す。そしてバブルの時代の終わりとともに挫折。
 
ライオンはシカが通りかかった時にその心の確かさを試されたのである。人には試練のときがある。器の大きさを試されるときがある。「俺は大器だ」と大物のふりをしていても、そういうときに化けの皮がはがされる。表面的な幸運に騙される。しっかりと生きて居る人はシカの誘惑に負けない。いいかげんな生き方をしているとどこかで挫折する。
 
よく世に出たあとで消えていく人が居る。そういう人にあうと必ずマスコミの悪口を言う。マスコミは人を使い捨てにすると。その通りである。しかしテレビのレギュラー解説者を頼まれて、今の仕事を犠牲にして喜んでテレビ出演する自分の愚かさに対する反省はない。