農夫と木

農夫の畑に、木が1本ありましたが、果物がならず、やかましいスズメやセミの休み場になっていました。農夫は果物のならない木だから切ってしまおうと思いました。そこで斧を持ってきて1度切りつけました。セミとスズメは、自分たちの休み場を切ってしまわないで、今までどおりそこで歌をうたってあなたを楽しませるようにしてくれと頼みました。ところが農夫はそれにかまわず、2度3度と切りつけました。ところが、その木はうつろになっていて、ミツバチの群れとハチミツが見つかりました。農夫はハチミツをなめて、斧を放りだして、その木を神木におまつりして大事にしました。

セミとスズメが歌うのを楽しむ人には、果物のならない木は価値がある。実利の人には無駄に思えるその木も、セミとスズメが好きな人なら、神にささげるだろう。木そのものは全くかかわりないのに、相手によって木の価値は違ってくる。
 
ある人が自分のことを価値がないといっても、それはその人の価値観に従って言っているだけである。また相手の価値もこちらの気持ち次第で変わることに注意しなければならないだろう。
 
自分の価値観や、発想によって物事は違って見えてくる。周囲の人が自分を軽蔑したからといって自分に価値がない訳ではない。