キツネとヘビ

キツネがヘビが寝ているのを見て、ヘビが長いのを羨ましいと思った。そこで側に寝て同じ様なせいんになりたいと思って、体を伸ばした。余り伸ばしたのでキツネの体が弾けてしまった。

これも第三者から見ると、おかしな話しである。「なんで?」と思う。もしヘビが寝ているのを見て羨ましいと思ったのではなく、ヘビが木にスルスルと自由に登っていくのを見て羨ましいと思ったのなら分かる。或いは陸から川に入って泳ぎ始めたのを見て、羨ましいと思ったのなら分かる。
 
あるいはこれが寝ていてもヘビではなく、ライオンなら分かる。キツネが百獣の王ライオンを羨ましいと思ったというなら第三者からも分かる。しかし寝ているヘビを羨ましいと思うのは分からない。
 
ところが実はこれが自己蔑視している人の心理なのである。第三者から見ると不思議なのだが、とんでもないものを羨ましがり、そしてそれを憧れて真似ようとする。そして自分を見失う。

自己蔑視している人の心理とは、ライオンがアリにもニコニコして迎合していくような不自然な行動をとる心理である。威張って歩いていればいいのにそれが出来ない。
 
キツネも自己蔑視しているのである。だから寝ているヘビを見て、真似ようとして破滅していく。自己蔑視している人は第三者には理解しにくい破滅の道を選ぶ。
 
自己蔑視しているキツネはヘビが木から落ちないのはヘビが長いからだと誤解したのかも知れない。このような誤解を自己蔑視している人はよくするのである。