2. 失敗と戦うことで幸せになれる(「ねばり」と「もろさ」の心理学)

『「ねばり」と「もろさ」の心理学―逆境に強い人、弱い人』より

我々は成功ばかりで幸せになれるのではなく、失敗と戦うことで幸せになるのである。我々は次々に成功する人を羨ましく思う。自分の人生は何であのようにならないのだと羨ましく思う。自分の人生はどうしてこう不運なのだと思う。そうなると時に失敗のない人生を送っているような人を妬む。しかしこれは間違っている。

自分は妬み深い性格だと思う人は、自分の人生の失敗を再評価することである。自分はこれだけの失敗にもかかわらずここまで生きてきた。それは大変なことである。これで幸せになれないはずはない。もしなれないとすればそれは不必要な競争意識を持ち、他人のことを間違って考えているからである。妬みや、絶望感や、無力感を処理するのに大切なのは人生の成功と失敗を正しく評価することである。

自分は会社の本流から外れてしまった。それなのにあいつは常にエリートコースに乗っている。羨ましい。誰でもそう感じるであろう。しかしそのエリートコースに乗っている彼が、定年になって会社を辞めた時にどうなるかは別のことである。

彼は会社の生え抜きだから会社での出世は早い。俺は途中入社で傍系だから、努力しても彼のように出世出来ないと僻んでいる人は多い。或いは俺のように有名大学を卒業していないから先は知れていると僻んでいる人もいる。しかしもしその様に彼はエリートコースを走っていても、彼は簡単に挫折するかも知れないし、もし挫折しないとすればそれは外側から見える彼と現実の彼とは違って、彼は人知れず人生の荒波にもまれているのである。

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