23. 感謝や同情を要求するのは自分の不安感をやわらげるためである(『自分の居場所をつくる心理学』)

『自分の居場所をつくる心理学』より

常に人にある一定の感情を相手が持つことを要求している人がいる。恩着せがましさもその一つである。相手に感謝の気持ちを要求する。相手が自分に感謝してくれないと充実感が得られない。そして相手に大きな感謝を要求するためには、自分がいかに大変であったかを強調するに限る。

自分の払う犠牲が大きければ大きいほど、相手に大きな感謝の念を要求できると思っている。自分が相手のためにどれほど大きな犠牲を払ったかによって、感謝の気持ちを要求する正当性が得られたと思い込む。

あるいは人によっては、相手が罪の意識を持つことを要求する人もいる。相手が自分に対して罪悪感を抱くと心理的に安定する。自分に対して相手が「悪かったー」と感じてくれれば気が済む。相手の罪悪感が自分の不安感をやわらげる条件なのである。そうなると相手の罪悪感が深刻であれば深刻であるほど安心する。また不安であれば不安であるほど相手に深刻な罪悪感を要求することになる。

罪悪感を要求する人と、恩着せがましい人と全く違う人というのではない。同じように心理的に不安な人である。恩着せがましい人も酷い人になると、感謝を通り越して、罪悪感まで要求することもある。「あんなにしてくれて悪いなー」という気持ちを相手が持つことを要求するのである。相手から「申し訳ない」と言われることを期待する。

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