25. 安心を求める人は相手にしがみつきながら相手を信じられないという悲劇を背負う(『自分の居場所をつくる心理学』)

『自分の居場所をつくる心理学』より

神経症者と恋愛したものが自分が愛されていないということに気が付き出すのも、このためである。確かに神経症者にとって大切なのは相手ではない。相手の幸ぜが問題なのではなく、自分の心の幕藤が問題なのである。自分の心の不安をどう解決するかということが、彼らの最大の間題である。

野獣に追われて木に登るものは木を選んでなどいられない。自分の身を守ることが大切なのである。

しかし神経症者自身は自分の愛を普通の人よりはるかに深いものと信じている。これは恋愛と言わず、親子の愛と言わず、友情と言わず皆当てはまることである。どのような場合にも彼らの愛はしつこい。それは、深いからだ。

彼らは自分の愛というのは、たんに自分か安心するために相手にしかみついているだけであるということに気がつかない。カレン・ホルナイも次のように書いている。
 The love is only the personユs clinging to satisfy his own needs.

過保護の母親は、子供を愛していると信じている。しかし子供の独立への必要性を無視している。そして自分が子供にしがみついているから子供は親離れできないということに気がつこうとしない。

相手にしがみついているだけのことを間違って深い愛と思い込んでいる。

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