33. 不機嫌な人は相手の不機嫌に敏感になる(『まじめさが報われるための心理学』)

『まじめさが報われるための心理学』より

相手の機嫌に自分の機嫌が左右される。相手の機嫌に自分の機嫌が左右されるからこそ、不機嫌な人は相手の不機嫌に敏感なのである。不機嫌な人は相手の不機嫌に耐えられない。それはそれだけ相手の不機嫌から自分が影響を受けるということである。
 
相手に投影的に同一視している以上、相手の気分がこちらの気分に直接影響してきて当たり前であろう。相手は自分と分離した別の人間ではないのである。自分の好きなものを相手は好きではないというような存在ではない。
 
自分は相手を見ているつもりになっている。自分は相手と接しているつもりになっている。しかし自分の接しているのは、もう一人の自分でしかない。相手のことを決めつける人というのは、逆に相手から心理的に直接影響を受ける。相手が不愉快そうにしていれば、それに耐えられなくなる相手の不愉快さは直接自分にはね返る。自分も機嫌良くしていられなくなる。それだけに要求の多い人になる。いちいち相手の気持ちに干渉していかざるを得なくなる。

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