37. “自分の世界”ができれば人は強くなれる(『まじめさが報われるための心理学』)

『まじめさが報われるための心理学』より

甘えるということは、自分の世界がないということである。つまり人から「こう思ってもらいたい」という気持ちが強すぎる。甘えるということは、人から「こうされたい」という欲求のことであろう。自分が人に「こうしたい」ということではない。人から「こう思ってもらいたい」という自分が一方にいる。しかし他人に「こう思ってもらいたい」ということを抜きにすれば、実際に「こうしたいという自分は違う。その二つの自分が離れすぎていることに問題がある。
 
甘えとは、人に「こうしてもらいたい」ということである以上、それを満足させられるのは他人である。人に「こう思ってもらいたい」というのも同じである。この依存性が問題を引き起こす。人に「こう思ってもらいたい」といっても、人は必ずしもそのように自分のことを思ってくれるわけではない。そこで、甘えの満たされない人は、不安になったり、怒ったり、すねたり、相手を憎んだり、恨んだりする。(中略)
 
しかし、自分の世界ができてくると、その依存性がなくなり、人に対する要求が少なくなる。つまり、「こう思ってもらいたい」「こうしてもらいたい」という要求が少なくなるということである。人が強くなるということは、自分の世界ができるということである。

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