38. 心理的サド・マゾ関係ができるとき--無力性性格者の場合(『まじめさが報われるための心理学』)

『まじめさが報われるための心理学』より

無力性性格の者は、ときに自分が軽くあしらわれ、侮辱されているのに、そのことに気づかないということがある。無力性性格者が抑圧したときである。もともと人と対立できない。そこで相手から侮辱されても、そのことを意識するのが恐いということがある。相手からの侮辱を意識することはお互いの関係に波風が立つことでもある。そこで侮辱されてもそれを意識しない。意識しなければお互いの関係は波風が立たない。無力性性格の者は人がよく、やさしいのに、いや人がよく、やさしいが故に利己的な人達からいいように侮辱され、利用され、精神的に搾取される。
 
精神的に搾取されるということは、相手が相手の人生の充実のために相手の人生観を押しつけたり、支配したり、束縛したりするということである。それが最もハッキリするのは心理的サド・マゾ関係である。
 
相手が相手の心理的無力感を克服するために、無力性性格者を侮辱する。相手は無力性性格者を侮辱することで、心理的な充実感を得ようとするのである。そのような異常な関係であっても、無力性性格者はその関係を断ち切ることができないで侮辱されるにまかせる。

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