39. 失敗の体験の受け取り方で、人の能力は大きく変わる(『まじめさが報われるための心理学』)

『まじめさが報われるための心理学』より

交渉の失敗でも、事業の失敗でも、離婚でも、失恋でも、入試の不合格でも、体験はいろいろある。その体験によって強烈な心の痛手を受ける人がいる。しかし受ける心の痛手は、その人によって異なるであろう。
 
さらに、その受けた心の痛手を処理する仕方は人によって違う。その心の傷にうずくまる人がいる。何もしないで一日中家に閉じ込もる人もいる。友人を誘って憂さ晴らしをする人もいる。次の目標に向かってすぐに行動を始める人もいる。まさに人それぞれである。失敗から受ける失望の大きさは人によって異なる。
 
そして、すぐに回復する人と、失望からなかなか回復できない人とがいる。いつまでもその印象が強く心に残る人がいるし、そうでない人もいる。同じ体験で、ある人は、神経が衰弱し生きる気力を失う。くる日もくる日も、そのことを考えてふさぎ込んでいる人もいる。別の人は、その体験の痛手から回復まで、まったく違った経過を辿る。
 
体験の受取りその人の印象能力である。人はある体験をして感動したり、刺激を受けたりする。感受性の豊かな人もいれば、そうでない人もいるだろう。人によって同じ体験でも受取り方は違う。受ける印象の強さも違う。またその後の保持能力も違う。さらに、それを発散していく能力である伝導能力も違う。

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