49. 自分の基準に従って行動する人が心理的自律を果たしている(『まじめさが報われるための心理学』)

『まじめさが報われるための心理学』より

相手の言うことにしたがっているほうが心理的には楽である。従順というのは心理的に楽である。世間とか、前例とか、あの人が言うからとか、自分のすることや言うことの基準を自分の外に求めるほうが心理的に楽である。心理的に楽というのは、心の重荷がないということである。
 
何をするか、それをどこまでするか、それらを自分の内面の基準にしたがって決めるということは心の負担である。大変なストレスになる。前例にしたがって決めるというときには、前例が自分を支えてくれる。「あの人が言ったから」決めるというのは、「あの人が言ったこと」が自分の心を支えてくれるということである。
 
心の負担が重いか、軽いかということは、自分のすることを何が支えてくれるかという問題である。何を、どこまでするかというときに、自分の内面の基準にしたがって、他人を説得するということが心の負担になる。自分の内面の基準にしたがって、自分のすることに自信をもって他人に向き合えるか向き合えないか、それが心理的自律性の間題である。

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