69. 人望が厚い人間は、ありのままの自分をさらけ出している(『自分に気づく心理学』)

『自分に気づく心理学』より

あなたは自分の何を他人に隠そうとしているのか。あなたは自分の何が他人に知られることを恐れているのか。
 
あなたは心の底で自分に自信がないことを知っている。心の底で自分に失望している。しかしそのことを他人に知られたくない。そのことを他人に知られたくないから、他人にはいがにも自信がある「ふり」をする。
 
しかし、だからこそ他人に嫌われるのではなかろうか。他人に好かれるか嫌われるが、親しくなれるが、なれないがは案外単純なことなのである。実際の自分を他人に知られたくなくて、隠そうとする。そして心の底で感じている実際の自分と違った自分を、他人に印象づけようとする。そうすることで嫌われることが多い。
 
心の底にある幼稚な自分の願望を他人に隠そうとする。なぜ隠そうとするかといえば、知られたら軽蔑されるのではないかと不安だからである。心の底にある自分の幼児的願望を相手に知られたら相手から拒絶されると思って必死に相手から実際の自分を隠す。実際にはそのことによって相手から好きになってもらえないのに、その人はそれによって好かれると錯覚している。
 
実際の自分を隠す人は、隠すことで好かれようとしながら、逆に嫌われているのである。心の底で自分に自信がない人が、その自信のない自分を他人と自分に隠さなければ、他人と本当に親しくなれることが多い。親密になるということはそういうことであろう。

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