70. いい人を演じるのではなく、もっと楽に素直に生きる(『自分に気づく心理学』)

『自分に気づく心理学』より

我執のつよい親はいつだって子供に失望し、不愉快になる。我執のつよい親に失望されない子供などこの世の中に一人もいない。
 
それなのにあなたは親に失望されて、その夜ベッドのながで、自分は世界で最もわるい子だ、と考えた。我執の親を肯定して目然な自分を否定した。
 
その時あなたは親に向ける怒りを自分に向けた。そして親の前で「立派な子」「立派な人」を演しつづけてきた。その時否定すべきだったのは親の支配性だったのである。
 
今からでも遅くはない。自分はそんなに「立派な人」ではないのだと認めることから出発するしかない。自分は立派な人間だという自己像にあなたがしがみつくのは、あなたが自然な感情で生きていないからである。
 
あなたは「立派な人間」という自己像を大切にして生きてきた。もしがすると命より大切にして生きてきた。そしてその大切な自分のイメージを捨てることは死ぬほど難しいことかも知れない。
 
しかし今あなたは生きかえろうとしているのである。だがらその大切にしていた自分のイメージを捨てるしかないのである。「大切にしていた」というと言葉はよいが、「しがみついていた」といったほうが適切なのである。それにしがみついて死のほうに流されてきてしまったのである。
 
だからこそ、今までしがみついていたその自分のイメージから手をはなすことなのである。

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