8. 心理的な成長への第一歩 自分の弱点を認める(『「やさしさ」と「冷たさ」の心理』)

『「やさしさ」と「冷たさ」の心理』より

自分の肉体的、知的な弱点を相手に対して恥ずかしいと感じない関係が、安らかな関係なのである。そういう関係においてこそ、人は心理的に成長できる。

弱点を恥ずかしいと感じないということと、弱点があることを否定することとは違う。自分の弱点を自分で認めることが必要なのである。自分の自分に隠してはいけない。

しかし、その弱点が相手との関係でさらけ出されても、相手に対して気が引けないような関係が心理的成長には大切なのである。また、自分の弱点があらわれてしまうのではないかと不安になることのない関係のなかで、人は自分の潜在的能力を十分に発揮することができる。

自分の欠点や弱点を過剰に意識ししてしまう人は、自分の弱点に無頓着な人とつき合うのがよい。自分の弱点を恥じている人にとって、心安らかなつきあいができるのは、自分の弱点に無頓着な人だからである。

自信のない人は、小さい頃から、いろいろなかたちで心理的に操作されてきているのである。あなたをおだてることで操作することもあれば、あなたに罪の意識を持たせることで操作することもある。

あなたの弱さを見抜いた人が、あなたをどのように操作してきたのかーーそれがこの本を読んで理解できれば、自分の自信のなさは人々に世ってつくられてきたものにしかすぎないとも理解できてくるはずである。そして、小さい頃からの自分の心理的挫折を理解できた時、朗らかな気持ちで生きることができるようになる。