子供が嘘をつくのはストレスが大きな原因であろう

先日食事が遅いといって殴り殺された三才の子供のことが新聞に報道されていた。これは極端な例であろうが、不当に親に責められる子供は多い。子供がストレスや親から愛されたいがために嘘をついたときでさえ、「嘘をついた」と子供を責め苛む親がいる。酷い親になると「私をだました」と言って、子供を責める。
 
子供がテストを返してもらった。しかし成績が悪かった。子供は母親に理想の子を演じたかった。そこで子供は「まだ返してもらっていない」と嘘をついた。悪い成績で母親から責めっれるのが嫌だったからである。駄目な子供と母親に思われたくなかったからである。
 
嘘が分かったときにその母親は「あなたは嘘をついた!私をだました!」と言って小さな子をたたいた。これは親の感情のはけ口としての体罰だから最も子供の心を傷つける。躾の体罰ならいいが、親の感情のはけ口としての体罰は子供を恐怖に追い込む。
 
母親は自分の感情のイライラから子供を責めていても、自分が正しいと思っている。「嘘をついてはいけない」というのは正しいことだからである。言葉だけをとると母親の言うことは間違っていない。
 
しかしこれは母親が自分のイライラや不満を弱い者へ当たることで晴らしているにすぎない。子供を自分のイライラのはけ口にしている母親は子供が嘘をついてた事を責めているのだが、嘘をついたことが叱責の真の原因ではない。これは口実であって、その根本原因は母親のイライラである。母親は自分の不満のはけ口を、子供の嘘を叱ることに見つけたのである。
 
母親は自分より弱い者に因縁を付け、叱責する事で、自分の苛立ちを沈めようとしている。
 
ラジオの 人生相談に「私は正しいことしか子供に言わなかったのに、子供が心理的におかしくなった」とか、「非行に走った」とか言う電話してくる父親がいる。
 
良い言葉を使っていても心が触れていない親子では教育ができないのと同じように、親が正しいことを言っていても心が触れていない親子では教育ができない。
 
教育での問題は、言っていることの内容の正しいさではなく、なぜその正しいことを言うのかという動機が大切である。
 
子供が嘘をつくのはストレスが大きな原因であろう。子供を責める親は嘘をついたときに嘘をついたという事実に重点を置きがちであるが、なぜ嘘をついたかという動機を考えない。そして子供の嘘の動機を考えない親は、同時に自分の叱責の動機も考えない。