日本の家庭は心理的にアメリカよりも崩壊している

私はできれば毎日親子はテーマのない何気ない会話をすることが大切だと思っている。大切というよりも心がふれあっていれば自然とそうなるのではないかと思っている。その心のふれあいを通して子供は明日へのエネルギーも湧いてくるし、人と心がふれあうということが子供は体で分かってくる。
 
子供はその何気ない会話のなかで今日一日の学校での不愉快な出来事を乗り越えていくエネルギーを感じるようになる。そして明日もまた学校にいく勇気が湧いてくる。
 
ところが日本の私たち父親はどうもアメリカに比べてこの何気ないとりとめのない会話をしていないようである。昭和61年に総務庁がおこなった10歳から15歳までの子供の調査を見ると、子供がほぼ毎日父親と一緒におしゃべりをするというのはアメリカが87%なのに比べて日本は約54%である。私たち父親は何かテーマがないのに会話をするということが不得意である。
 
これは何も父親ばかりではなく母親についても同じである。日本青少年研究所の昭和60年のニュースレター34号を見ると「お母さんと非常によく話す」は日本の中学生で25.5%であり、アメリカの中学生で46.9%である。「あまり話さない」は日本の中学生で20.4%であり、アメリカの中学生で10.0%である。
 
話さない理由は「話す話題がない」である。日本43.7%、アメリカ28.5%である。特別な話題がないと話さないというのは心がふれあっていなかいからである。
 
それにもう一つ私たち日本の親子は差し障りのある話題を避ける。これもまた心がふれあっていないからである。総務庁の平成元年の世界青年の意識調査の報告書を見ると「喫煙、飲酒、シンナーなどの非行」はアメリカで60.9%、日本ではわずかに10.2%、「異性関係」もアメリカで47.6%、日本ではわずかに11.5%である。「特にない」を除いて全ての話題についてアメリカの母親の方が子供と話しをしている。日本で多いのは「勉強、進学」(71.7%)である。
 
日本の家庭は心理的にアメリカよりも崩壊しているのになぜか日本人はアメリカの家庭は日本より崩壊していると勘違いしている。全ての「話す事柄」についてアメリカの母親の方が日本の母親より多い。