「良い子」には安心感がない。

心理的に健康な人は愛する能力を持っている。子供を愛していれば子育ては大変だけだけども辛くない。親を愛していれば親の介護は苦労は多いけど辛くない。
 
逆の立場から見ると、次の様になる。相手が時間とエネルギーをかけて自分の世話をしてくれる。でも相手は辛くはないだろうと確信できる。それが安心感である。相手が自分の事に時間を費やしている。でも相手はそれに意味を感じているだろうと言う確信が持てる。これが安心感であり、愛されていると感じているという事である。
 
残念ながら「良い子」にはこの安心感がない。逆に世界は敵意に満ちていると感じている。敵意に満ちた世界から自分を守る方法が「良い子」になることなのである。「良い子」にとって世界は悪意に満ちている。
 
敵意に満ちた世界と言うのは、自分は親の感情に自分を合わせなければならないと感じていると言うことである。親は何か気に入らないことがあると「どういうつもりなの」と詰問する。
 
心理的に病んでいる親は、親になってもまだ愛されることを求めている。だから子育てが辛くなる。子供から見ると、そんな世界は自分に友好的ではないと言うことである。
 
友好的であるということは相手が自分のことを考えてくれていると感じられると言うことである。自分を理解してくれると言うことである。自分の言うことに耳を傾けてくれると言うことである。 
 
子供は親が自分の言うことに耳を傾けてくれないと言うことで世界は自分に敵対していると感じる。そして不安だから、自分の周りに城の壁を作る。どんな敵が攻めてくるか分からないからどんどん壁を高くする。
 
ジャングルに一人でいたらどうなるか。自分が無力で、周囲の世界は自分を守ってくれない。自分を守ってくれる人がいない。自分を守ってくれると信じられる人がいない。
 
そんな時、誰でも暇があれば城を強固にする。遊んでいる暇はない。仕事をしないではいられない。城を強固にすること以外の仕事をしていれば、こんなことをしていられないと感じるのは当然である。城を強固にするということは現実の世界では仕事の業績を挙げると言うことである。
 
仕事中毒は不安な人である。城の城壁を高くすること以外の仕事はしている暇がない。大人になって仕事熱心で休めない執着性格の人は不安なのである。