ストレスや恐怖や不安がなければ子供は嘘をつかない。

相手に好かれるために嘘をついてしまうと、相手の人柄と関係なく相手を信じられなくなる。人を信じられるかどうかには二つの問題がある。一つは相手が信じるにたる人物であるかどうかである。もう一つは自分が相手を信じる能力があるかどうかである。
 
相手を信じるためには、相手が信じるにたる人物であるというだけでは十分ではない。相手がどんなに信じるにたる人物であっても、全ての人がその人物を信じられるわけではない。

相手に気にいられようと相手に嘘をついてしまえば、その人は相手を信じられなくなる。相手に嘘をつかないからこそ、人は相手を信じられるのである。
 
いわゆる「良い子」が人を信じられないのはそのためである。相手に迎合してしまっているからである。いわゆる「良い子」は両親に気にいられたいために、自分の本心とは異なったことを言う。両親に気にいられるようなことを
言う。
 
小さい子が母親から勉強のことをたずねられる。大切な宿題を済したかどうかを聞かれる。そこで「まだ、やってない」と正直に言って母親から怒られる子は、母親を信じられる子供である。しかしそこで嘘をつく子は母親を信じられなくなる。
 
もちろんこの場合に子供にも責任があるが、母親の方により重大な責任がある。子供は「まだ、やってない」と言って怒られるのが怖いから嘘をつくのである。ストレスや恐怖や不安がなければ子供は嘘をつかない。嘘をつく理由
がないのである。