【年頭所感】(2025年)

 明けましておめでとうございます

 年頭に当たり皆様のご多幸を祈っております。
新しい年が、皆様にとって幸せな年のスタートであることを願っています。

人類は今課題に溢れています。
 全ての人が戦争反対で、なぜ人類の歴史は戦争なのか?
 その難問に答えようとしたのが、フロイドの流れを汲んだフロムである。そしてその流れにいたのがカレン・ホルナイである。

 それが母親固着である。
  母親固着の第三段階の民族、国家、宗教的狂信の隠された真の動機は「不安と孤独」である。
 つまり個性化の段階に入った時の「不安と孤独」と言う心理的課題の解決に失敗して、人類は民族、国家、宗教的狂信に走った。
 「自由からの逃走」がその説明である。
  何が成長をためらわせるのか?
  人にとって成長することがなぜそれほどまでに難しいのか?

 自分自身であろうと決意することは、人間の本当の使命である。「註、Rollo May, The Meaning of Anxiety, W.・W・Norton & Company・Inc. 1977, p.40」。
 つまり一人一人が自分自身であろうと決意することが戦争を防ぐ最も確実な方法なのである。
 そして自分自身であることを決意する意志の中心は「自分を認識することを拡大することだ」とロロ・メイはいう。
 「この意志の中心は自分を認識することを拡大していくことである。」

快適な生活は人の心理に何をもたらしたか?
 事実この間に所得は増え、先端科学技術は進歩し、人々は様々な恩恵をこうむったであろうが、ギャラップの調査をみる限り、人びとはより幸せになっているわけではない。

 私たちは、本当に進歩したのか?何処で生き方を間違えたのか。
 ギャラップ調査を見ると、これから人々の生活は良くなると多くの人は思っている。
 しかし、Inner happiness, peace of mindは悪くなると多くの人は思っている。
 要するに現実の苦しみは解決に向かっている。しかし心の苦しみはいよいよ深刻になると言うのが、多くの人びとの率直な予想である。
 人類は月にいけるようになっても、洞穴に住んでいる時よりも、幸せにはなった訳ではない。

 なぜ人々は、これからより健康になり、生活がより良くなるのに、将来「心の安らぎ」がないと思っているのか?
 なぜ人間としての「内なる幸せ」はないと思っているのか?
 ギャラップ調査を見る。
 人々の生活は良くなると多くの人は思っている。でも、Inner happiness, peace of mindは悪くなると多くの人は思っている。
 要するに現実の苦しみは解決に向かっている。しかし心の苦しみはいよいよ深刻になると言うのが、多くの人びとの率直な予想である。
 だからこそ今、心の学問をすることが必要である。

 ますます超高速の新幹線だの飛行機等で、世界は狭くなった。月まで住めることを予想しはじめている。それにもかかわらず、自分達の居場所「=自分と言う存在を確実に感じられる場所、心の平和を見いだす場所」が何処にもない。
 そこに「Peace of Mindは悪くなる」と多くの人々は予感しているのではないか。
 私たちは、自然と人間から切り離された心の異邦人になっていくと多くの人は思っている。
 心の基準を作ることなしに進めば、先端科学技術進歩は人の心を壊す。
 戦争で死ぬ人より、悩みで死ぬ人の方が多い。
今年は世界の全ての人が活力に満ちて、本当の意味で満足感のある人生を送れることを願っています。

今年も体力の続く限り書き続けます。
今年もよろしくご指導ください。

加藤諦三

(その他の年の「年頭所感」はこちら)