35. いつも完璧にできることなど何一つない(『まじめさが報われるための心理学』)

『まじめさが報われるための心理学』より

心に迷いがあると緊張する。心の迷いとは、心の中に葛藤があるということである。あれをしようか、やめようかという心の迷いは、不安な緊張で人を疲れさす。あることを始めると別のことをしなければならないように感じ始め、そのことを始めると前のことが気になり出す。結局、何もしないで迷うだけで、疲れて時間がいたずらに過ぎていく。
 
どちらにも決められないのは、どちらをしても満足できないからである。またどちをしても完璧にやろうとするからである。どちらをしても完璧にやろうとするからである。どちらをしても完璧になど物事はできるものではない。したがって、あることを始めると、そのことが完璧にできないから別のことをしなければと思うのである。完璧な状態で完璧にやろうとすれば、迷いは避けられない。
 
どうも今日は調子が悪いとしたら、その調子の悪いことを受け入れることができて初めて、調子が悪いながらもなんとかその仕事ができるのである。毎日毎日、絶好調などということはない。毎晩毎晩、熟睡などということもない。毎時間毎時間、有効に時間が過ぎていくなどということもない。毎月毎月、神風が吹くような幸運なことがあるわけではない。いつも頭がさえ渡り、体の方は不思議なくらい調子いいなどというわけがない。

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