42. 完全=神になることで自分の悩みを解決しようとしてはいけない(『まじめさが報われるための心理学』)

『まじめさが報われるための心理学』より

完全主義者は、人に悪く思われるのではないかといつも不安である。完全主義者は、自分は完全でなければ嫌われるのではないかと思っている。完全主義者は、他人に優越したいという願望から、他人に優越しなければならないという自分に対する要求を持つようになっている。
 
カレン・ホルナイがいう如くwishがclaimになっているのである。そしてこれらの栄光への要求が満たされることが、自分の心理的葛藤の解決には必要なのだと、悩んでいる人には感じられる。つまり他人から見捨てられない、見下げられないためには、これだけのことが必要であると感じているということである。
 
だから、完全主義者が非現実的な要求を持つのである。見捨てられたら一人でやっていける自信がないのである。完全主義者は、大人になってからいつも小さい頃の見捨てられた苦しみの再体験をしている。大人になっても小さな拒絶を通じて、その古い苦しみを再体験してしまうのである。それを避けたいということである。
 
自分が神になることで、自分の悩みを解決しようとしてはいけない。ところが、自分が神になることで、自分の悩みを解決しようとしている人は想像を絶するほど多い。
 
神になることより、「美しさ」を味わえる人間になろうとすることの方が、どれほど悩みを解決してくれるかわからない。

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